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「なんか、綺麗な映画撮りたい。って、語彙無いけど。ここにいるから幸せなんだなって心から思えるような。聖…、俺の映画に出てよ。俺、絶対撮るから」
うん…と答えると、砂の上に置いた指が触れた。
それが合図になってどちらともなく唇を合わせた。灯台の光がふたりの熱をこっそり暴くみたいにぐるりと照らす。何度も角度を変えては唇を重ね、舌を差し出したタイミングが同じで、互いの間で絡ませた。
「んっ…」
しっかりした大きな手で首筋を撫でられると、思わず喉から甘えるような息が漏れる。
男っぽい長い指が情欲を隠さず肌を辿ってくると息苦しくて、酸素を求めたいのにもっと欲しいのは違うもので、焦燥に任せて粘膜を貪り秀野の肩を強く掴んだ。
聖…、きれぎれの吐息の間に名前を呼ばれ、そうするのが当たり前みたいな気がして、砂の上に押し倒された。めくれ上がったシャツの間から背中にじゃりじゃりと砂が擦れる。構わず唇を求め、素肌を探り合う。
「どうしよう。このままだとやばい。帰ろう…」
絞り出されるような秀野の声は掠れていて、本気を伝えてくる。暗闇に紛れてもつれ合うようにして家に帰った。その日この部屋で、秀野に抱かれた。
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