04 二日目 / 手塚佳純side

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二日目の午後は島内を散策して過ぎた。日焼け対策にしっかりと肌をガードされ変な格好をさせられたが、恐ろしくど田舎なので気にならない。山を登ったり、砂浜を走ったり、海で泳いだりと、体を動かしたことはトレーニング代わりになって満足した。 自然に慣れ親しんでいない手塚だが、こうして投げ込まれてみると新鮮な環境を純粋に楽しめた。アイドル稼業を始めてから精神面では図太くなったせいもある。島と聞けば、東京の市街地で育った手塚は、薪を割ったり井戸水を汲み上げたりなど、もっとものすごい田舎を想像していたけれど、それほどサバイバル感はなく安心した。 服を着たまま海で泳いでしまったので、ぼたぼたと地面に水たま模様をつけながら、人気のない道をひとりで戻る。 麻生は、もう少し海を見て行くと、海風で乱れた髪を耳にかけながらナイーブ腐った横顔で言うから、放っておいた。秀野のことでも考えているのかと、関わりない他人事になぜか気分が悪くなる。 シャワーを浴びて髪をタオルで拭きつつ部屋に戻ったタイミングでスマホが震えた。 「お、出た!電波ないのかと思って心配したじゃん。どうよ撮影はー?」 携帯越しに、あっけらかんとした神崎の声を久しぶりに聞いてほっとする。 「電波くらいあるわ!あ、いや、電波ないかもってくらいの田舎だけど。携帯繋がって、まじ良かったわ。撮影?まだ始まってないよ」 「え、まだなの?じゃ、よしくん、そっちで何してんの?」 「うーん、泳いだりとか?散歩とか?」 嘘ではない。まだそれしかしてない。 「いいな、いいなー。俺も遊びに行こっかなー」 「来れば?」 神崎のスケジュールを考えれば絶対無理なのに、無責任に言った。 そのまま会話は流れ、次の新曲がまとめて上がってくるらしく、よってPV撮影もまとめてになるから日程がタイトそうだとか、メンバーのひとりが腹壊しただとか、ロケで北海道に日帰りで行ってありえなかったとか、とりとめないことを話した。
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