04 二日目 / 手塚佳純side

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「でもさー、ああやって笑いとっといて、最後のカットはお疲れ様ーってみんなと肩叩きあったりとか、よしくんの方から『ありがとうございました』って素の笑顔で挨拶するところとか入っててさ、いつも思うんだけど、原さんの番組って優しいよね。人をキャラの駒としてだけ使わないって徹底してる」 単なるオフショットだと思っていたが、神崎に言われて初めてあのカットで手塚のイメージが大分上げられていることに気づいた。Sキャラのアイドルだけで終わるのとは手塚のことを知らない視聴者の印象はかなり変わってくる。 「原さんもだしさ、ファンの子達だってそうだし、絶対よしくんのいいとこ、もっと見てくれる人がたくさんいると思う。ま、一番見てんのは俺だけどな」 初めこそ年下の神崎が懐いてくる感覚だったが、仕事を始めると神崎はあっという間にしっかりしてきて、手塚が疲れているときなど絶妙な気遣いで甘えさせてくれる。 「おまえ、最近青春ドラマに出すぎだからそういうこと言うんじゃないの?二十歳過ぎて制服なんて着てるから!」 「制服まだ似合ってるからいいじゃん!でも、ほんとだよ。俺は単純に露出が多いからいいねって言ってくれる人もいるけど、よしくんのこといいって言う人は、すごいちゃんと見てるなって思うもん。で、一番いいとこ知ってんのが俺ね」 嬉しいなと思いつつ、ヨシズミズナンバーワン!イェィ!と訳のわからない単語を口走る神崎を、もう本当にいいからとたしなめる。それって、どっちがどっちの一番?なんか違うくない?と返しながら、すっかり気持ちが軽くなっている。
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