04 二日目 / 手塚佳純side

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「ほんと、よしくん、噂とか気にしないで、今回の仕事思い切りしなよ」 解散や手塚がグループから切られるという噂を手塚が気にしていることまで知っているのだろう。たった今は自分以上に神崎の心境の方が心配になった。 「…て言っても、俺、演技とか全然ダメだし」 「アイドルだってある意味演技してる部分はあるわけじゃん。最初っからジャンル違いなんだから演技論とかから始めたって仕方ないんだし、知ってる感覚から寄せてみたら?俺は結構そうしてるけど。よしくんは自分のやり方でやってみたらいいと思う」 「帰ったらチューしてくれる?」 「おー、いくらでもしてやる、してやる。だから、やるだけのことはやってこい」 ライブで気分が盛り上がったらほっぺたや耳たぶに口づけることはあるが、本当のキスなどしたことがない。柔らかな見た目を裏切る男前な答えに笑った。 ありがとな、史弥愛してる、やっぱヨシズミズナンバーワンだよ、と最後まで茶化して通話を切った。
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