第四章 真実とリバースの意味

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「なぁ、安……」  会議室を出て、編集室へと戻る途中でふと佐川が声を掛けた。それに、火をつけていない煙草を咥えた安嶋が振り返る。 「ん?」 「今更だけどさ、あの写真……なにが写ってたんだ?」 佐川の予想通り、安嶋は口をつぐんだ。 「あぁ、まぁ、話しにくいならいいんだけどさ」 「……残ってるよ、写真」 意外な一言に目を丸くすると安嶋は苦笑した。そして、 「焼いたって、言ったろ?本当は焼いてない。怖くて、焼けなかった」 と続けた。 「それは、今は……?」 「今の会社に置いてある。見たいか?」 ぞくっと背筋を嫌なものが這う感触に襲われ、佐川は身震いした。それほど、安嶋の目は真剣に恐ろしいものと対峙した瞬間を映し出しているように見えたのだ。 「あぁ、見せてくれ」 「……この後、暇?」 「あぁ」 「じゃあ、早速行くか。すぐ近くだから」 そう言って、正面玄関へと歩き出した安嶋の背中を追った。
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