女神様の手違いでデコトラと化した俺

13/13
前へ
/45ページ
次へ
『あわ、あわわわわ!』  俺の頭の中に、妙な声が響いた。それも、微妙にノイズがかかったような音。なんだこれ?  音がした方角を見ると……黒塗りの高級車が見えた。確か、山本を轢いたのはあの車だな。  その山本はと言うと、少し吹っ飛んだだけで意識はあるみたいだ。通りがかった人が救助をしている。悪運の強い野郎だ。 『あの人死んじゃったらどうしよう!』  まただ。それも、よく聞いてみたら幼い少女のような声色をしている。 『騒ぐなよ。ほっときゃ大丈夫だ』  届くはずもないだろうが、心中で声を発してみた。 『ん? 今の声はだあれ?』 『俺だよ。デコトラと化した……って、え?』 『デコトラ? あのハデハデなトラックのことかなあ?』  すると、俺の前に山本を轢いた黒塗りの高級車が走り寄ってきた。あんな車に乗りたがるのは、一流企業の重役かヤクザくらいのものだろう。それが盛んにクラクションを鳴らしている。 『ねえ、ヘンなトラックのお兄ちゃ~ん! 私とお話しようよ~!』  まさか……あの車も。  俺と同じ、車に転生させられた人間なのか!?
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加