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黒塗りの高級車と化した幼女
その高級車へ事情を聞く前に、まず俺の荷台部分に載ってもらった。声で指示したらすんなりと言うことを聞いてくれたので、俺と彼女? は会話が可能だと見て相違無さそうだった。
その場を離れ、近くにあったホームセンターの駐車場に停まった。幸いなことにスペースにも余裕があり、デコトラを駐車するのも問題なかった。
高級車を荷台から降ろす。これでようやく、落ち着いて話が出来そうだ。心で念ずることで声が届くようなので、話しかけてみる。
『あのさ……。お嬢ちゃん、でいいのかな?』
『わたし、蜜柑って言います。八歳だよ!』
年齢一桁のガチ幼女だよ。見た目はヤクザ車なのに!
『お兄ちゃんも、わたしと同じで死んじゃった人?』
『あ、ああ。蜜柑ちゃんもデコトラに轢かれたのか?』
『んーん、違うよ。わたし、おそとにあんまり出られなかったから、車とぶつかるほうが難しいかなあ』
違うのか? まあ、八歳にしてこの世を儚んでデコトラに突撃するってのは考えにくいしな。
『病気で死んじゃったの、わたし』
言葉を、失った。まだ八歳の女の子が、病気で? しかし、その割には悲壮感が薄い。幼いがゆえに死の実感が薄いのだろうか?
『わたしがこうなったのはね。女神様のおかげなの』
『女神っていうと、あの見た目が綺麗なだけの諸悪の根元のことか?』
『悪い人かは知らないけど、すっごく綺麗だったよ~! その人が、お願いを叶えてくれたんだ』
どうやら俺とは少し事情が異なるようだ。蜜柑ちゃんから詳しく話を聞くことにした。
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