黒塗りの高級車と化した幼女

2/32
前へ
/45ページ
次へ
「てんせい?」 「そう。あなたの来世……次の人生ですね。そのご希望をお伺いします」 「次なんてどうでもいいよ! そんなのよりお父さんと話がしたい! わたし、まだ言えなかったことが……」 「残念ながら、それを認めることはできません。自然死した人間を復活させることは、この世界の秩序に関わりますので。ご自身が亡くなられたという事実、受け入れがたいとは思いますが」 「そっか。わたし、本当に死んじゃったんだね……」 「ええ。しかし、あなたのように幼い子が亡くなるなど不憫極まります。ですので、転生先は出来る限り希望に沿ったものにいたします。それに何でしたら、今とは違う別の身体で転生することだってできるんですよ」 「別の身体?」 「ええ。あなたは生前、病に苦しんだと聞いております。ですので、来世では病気知らずの頑強な身体に転生することもできるのですよ」 「ふうん。来世ってよく分かんないから、お任せで」 「ではこちらで見繕っておきますね。あっ」 「あっ?」 「……ご希望は、確かに承りました。来世でのゴケントウヲ、オイノリシテイマス」
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加