0人が本棚に入れています
本棚に追加
「なあ、いいか」
「おや? どういたしました? お声を聞くのは初めてかもしれませんね」
「俺の方もさ。ちょっと、言いたいことがあるんだけど」
「ああ、申し訳ありません。私ばかりが話してしまって」
女神様は畏まって、恭しく頭を下げた。
けれど、俺にはそんなのどうだっていい。渾身の一発をかましてやることしか考えちゃいなかった。
「もうさ! そんな説教まがいの話とか、若者の未来がどーたらとか、うんざりなんだよッ!!」
「は、はい?」
急に俺が大声を出したもんだから、女神様も呆気にとられていた。けれど、話はここからだ。
「あれだろ、女神様はこれから俺を転生させてくれるんだろ!? そうだよな? っていうかそうじゃなきゃ許さねえッ!!」
「え。いや、まあ確かにそのつもりではありますが……」
「だったら、こういう前置きってのはササッと終わらせて、そんで本編(チーレム)に移行するのが鉄則なんだよ。女神様だってさ、ゲームで長々とチュートリアルばっかやりたくないっしょ? さっさと魔王退治に行きたいっしょ?」
言ってやった! 言ってやったぞ!
俺が早く知りたいのは、これからの栄光ある来世の話なんだ。何が悲しくって、あんなクソッタレた現世の話を蒸し返そうとするんだよ! だいたいもう俺は死んじまったんだから、そんな話したって意味ねえだろうが!
思わず生意気な口を叩いてしまった。けれど心配はしていない。何せ向こうは女神様なんだ。慈愛と抱擁の心で優しく受け止めてくれるだろう。
最初のコメントを投稿しよう!