0人が本棚に入れています
本棚に追加
「まさか、あのブログを女神様が書いてただなんて……」
「暇つぶしのつもりが、つい興が乗ってしまいまして。うっかり真に迫りすぎた画像をブログにアップした途端、アクセス数がうなぎのぼり! 気が付いたらアフィリエイト収入が本業を超えましたよ。こりゃ儲かるなと味を占めてからは、神パワーをフル稼働して異世界の画像を集めては載せまくる日々でしたね」
「好きなことで生きていってる場合かよ! ちゃんと女神業に従事しろ! そのブログを真に受けた馬鹿共がどれだけ居ると思ってんだよ!」
「そうなのです……。最初は偶然かと思っていたのですが、どうにもデコトラに轢かれて亡くなる若者が多すぎる。調べてみれば、みな私の書いたブログを信じ込んでしまっていたのです。気付いたときには、もはや私の手にも余る状態でした」
「いや、それだったら女神様の力で事態を収束させるようにしたらどうなんだ? ネット上の話題くらい、お得意の神パワーを全力で発揮すればどうにかなるだろ」
「それがですね……。今回の越権行為が上司の耳に入ってしまい、減給のうえ私の力も制限されてしまいました。おかげで、今は下界への干渉がほぼ不可能となっております。ああ恨めしきはインターネットの拡散力。こうも簡単にデマが蔓延するとは、なんとおぞましい……」
なんかネットのせいにしてるけど、ほぼ女神様の自業自得じゃねえか。神の風上にも置けないな! あと給料とか上司がどうとかそういう生臭いワードを出すのは止めて欲しい。世知辛すぎて神様のイメージが崩れるから。せめて、ダメダメなのはこの女神様だけだと思いたい。
「上司の厳命により、下界の干渉のみならずネット絶ちまでも強制されました。でもね、その上司にしたって、ネットの為替取引に手を出して破滅しかけたんですよ! 今だって懲りずにビットコインとかリップルを買ってるくせに! ネットから手を引くのはどっちだって話ですよねぇ?」
俺の中で「神=崇め奉るもの」という図式が完璧に崩れ去った。人間だって大概だが、しかしこんな連中が神の座に居ていいのか……。
最初のコメントを投稿しよう!