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「なに? 沢井、おまえ、やきもち妬いてんの?」
不愉快さを顔に出したつもりはなかったのだが、川上は大学時代からの親友である。沢井のクールさの下に隠された本音をしっかり読み取ったようだ。
「別に」
「まーたまた。沢井は黒崎のこととなると、ほーんと分かりやすいな。でもさ、ああやっていっしょにいると、新入りイケメンだし、けっこう黒崎とお似合いじゃん?」
ピキッと音がするくらいの鋭い目で、沢井は川上をにらんだ。
途端に川上がすくみあがる。
「じょ、冗談だよん。おまえは怒ったら、美形な分、迫力があるんだから怖いよー。にらむなよー」
「そう思うなら、変な冗談言うなよ」
沢井はもう一度、黒崎と、新しく来たという精神科医のほうを見た。
……まあ、雅文にも同年代の友人ができても、おかしくないけど。
でも、あんまりいい気分じゃないかな……。
黒崎のこととなると、沢井は独占欲の塊となり、大人げない男になってしまうのだった。
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