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黒崎は珍しくその綺麗な顔を引きつらせて、病院の廊下を足早に歩いていた。
……いったいなんなんだ? あの人は……。
オレがあの人に対して持つ感情が分からずに悩んでいるっていうのに、変な質問ばかりしてきて……。
キスとか、セックスとか……。
その瞬間、黒崎の胸がトクンと高鳴った。そして思う。
自分が沢井に対して持つ、謎の感情。それは――、
――恋愛感情……?
でも、その答はすぐに却下の箱に入れられる。
まさか。
食が進まないオレを心配して、サンドイッチとコーヒーを差し入れてくれる、そのさりげないやさしさは、とても沢井らしくてかっこいいなとは思うけど……。
でも、だいたい誰のせいで食欲がないのか、あの人は分かっていないんだから……。
悩める子羊、黒崎雅文。医師としての腕は優秀かもしれないが、色恋沙汰に関しては、小学生以下かもしれなかった……。
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