490人が本棚に入れています
本棚に追加
「黒崎!? おい、どうしたんだ? 大丈夫か!?」
黒崎は苦しそうに目を閉じていて、呼吸も少し荒い。
彼は沢井に気づくと、薄っすらと目を開け、
「……沢井先生、大丈夫です……。少し、貧血気味なだけで……」
そう言って立ち上がろうとするのを慌ててとめる。
「ちょっとジッとしてろ!」
沢井はまず脈をはかろうと、黒崎のほっそりとした首筋に右手を当てると、彼の体は驚くほど熱い。
「おまえ、すごい熱あるぞ! とにかく戻ろう、立てるか?」
「……いえ、本当に平気です……か……ら……」
最後のほうの言葉は消え入るように小さくなって、途切れた。
そのまま黒崎の華奢な体が、沢井のほうへ力なくもたれかかってくる。
「黒崎っ!!」
沢井は、黒崎の体を支えるように自分の腕の中に包み込むと、ズボンのポケットからスマートホンを出して、当直の川上を呼び出した。
最初のコメントを投稿しよう!