マリアの憧れ

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暴れる俺を引きずって、白い腕は――斗桐の生みの母親、マリアは俺を自室に連れて行った。 か弱いとはいえ、成人女性。まだ成熟しきっていない俺の身体は好きに扱われてしまう。 「ああ、憎い、憎い、憎い……ッ!!」 ぞっとするようなヒステリックな声に、俺の体が固まった。 あ。 こういう犯罪者気質、マリアゆずりなんだね、斗桐。 「どうして、どうしてあの女の息子が、私の天使ちゃんに近づくの……!!」 乱暴にベッドに放り投げられて、頭をガツンとどこかにぶつける。 クラリと、目の前が歪んだ。 「どうして、どうして天使ちゃんは、あんな目でお前を見るの……!!」 かちゃん。手に手錠が掛けられる。 「許さない、許さない……!!犯罪者のくせに、不良品のくせに……!!」 ざっくりと。 心に傷が入った。 「ふっ……ふぇ……」 ああ、ダメだ。 「ふりょうひんじゃない、不良品じゃないもん……っ」 ぐすぐすと涙がこぼれる。 それだけは。それだけは言わないで欲しい。 俺のマリアが唯一俺に残した、大きな傷跡に、触らないで。 「ぐすっ……うぇええっ……うああああ……っ」 しくしくと泣き出した俺に――いびつにマリアの口元が歪んだ。 「そうよ!醜く泣き叫んで――許しを請いなさい!!マリアにひざまずけ!!」 「ひぐっ……いやだよぉ……助けてぇ……っ!」 「お前みたいな犯罪者、神も救わないわよ!!」 痛い……苦しい……やめて……。 「そうだ、犯罪者の身体ってどんなモノなのかしら?興味あったのよね」 スマホを構えながら、マリアが俺のズボンに手を伸ばす。 「ひっ!?おやめください、マリア!!そんな穢れた行為……!!」 「科学者としての当然の興味だわ。そこには崇高な目的しかなくてよ?」 ぷち。ズボンのボタンが外されて、チャックが下ろされる。 「やめ、やめて……」 下着も下ろされて……カメラのフラッシュが光った。 「小さいのね。犯罪者の性器は小さい傾向にある、って都市伝説、本当だったのかしら?」 かああと顔が熱くなる。 「もう十分でしょう、マリア……ああっ!?」 きゅ、とマリアが使い捨てのゴム手袋をして、俺の性器を握った。
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