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長塚圭吾という男を探し出すのに、少々時間が要った。
世界のどこにいるか知れないやつだ。予想はしていたが、コネというコネを使っても、当初は残念な知らせばかり。
しかし五人目、
『辞める直前の話だが、ドイツへ行くと聞いた』
「ドイツ?」
『ああ。何ならこっちに来ないか、ジャガーとコナーもいる』
当時の仕事仲間、マホーニーから有益な情報を得た俺は、顔見せついでにやつの招待を受けることにした。
それに、同じく同僚だったジャガーとコナーがいるのなら、やつらからも多少情報が得られるはずだ。あと、旨いビーフステーキにもありつけそう。
おぼろげだった圭吾の行動が具体的に見えてきて、一息ついたのは朝方近く。空がうっすらと明るくなっている。
しかし体は楽だ。エンドルフィンでも出てるのかもしれない。
急な旅立ちになったが、朝食後、長らく世話になったホテルを出て、すぐ西へ飛んだ。
……もちろん、あのヴィットリオには内緒で。
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