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よく晴れた、風のない日だった。
白茶けた大地に揺らめく空気。この殺伐とした風景の中にいるだけで、汗が吹き出て止まらない。
「へへ、悪いな」
コイントスで圭吾に勝ったアーニーが、笑って助手席に乗り込む。
「彼奴またかよ、たまにはエアコンに当たって涼みたいぜ」
「勝てないねえ。縁がないと思いな」
「ちぇ」
汗で光る横顔に漂う、色気。
面白くなさそうにキャップを取って額を拭うやつと、下らん会話をしながらトラックの荷台に回ろうとした時だった。
「!!?」
突然近距離で生じた轟音と爆発――爆風にあおられるがまま地面に伏せた。
崩れた体勢を立て直す合間、
「……アーニー!!」
耳鳴りより小さくとも、はるかに悲痛な叫びが聞こえた。
……ああ。
何年も前のことなのに。
俺は死に瀕するたびに、あの日を、あの叫び声を思い出している。
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