he said,「smack you one」

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勘違いすんなよ、と、目を逸らすやつの顔を見て思う。 俺は別に、わざわざふたりを破局させたくて来たんじゃない。やつに会いたくて来たら、様々なことがくっついてきただけだ。 ……ま、結果安泰かは保証しないけどな。 とにかく、やつの警戒レベルを下げないことには……。 鼻から抜けるワインの風味を楽しんで、茜色が残る暗い空と海を眺めた。 間違いなく酒の量を抑制している林と、見たところ全く酒の飲めなさそうな唯ちゃんのふたりと話をしているうちに、やつは何処かへ姿を消していた。 それからしばらくして現れたやつは実に忌々しそうに、 「佐伯」 「何?」 「空き部屋用意してやったから使え。リビングに居座られたら迷惑だ」 あら、ホント? 「何処だよ」と訊きながら腰を上げ、案内するよう促した。
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