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俺の思惑くらい察してんだろうな。
だからここまで冷たいんだろうし。
やつからの仕打ちをいろんな思いで受け取って、裏口から家に入った。と。
「いい家だなー」
やっぱり、稼ぎをだいぶ突っ込んだんだろうな。
明るく、広く、天井の高い、洒落た木の家。
感心しちまった。
左右に階段があるから、個室は二階に設けたようだ。
家主は何も言わず、向かって右の階段を上がって立ち止まる。突き当たりにドア。
「ここ?」
滑らかな取っ手の動きを確かめながら、ドアを開けて中を覗く。クローゼットは備えているらしいが何もない部屋だった。最近使われた形跡もなさそう。
「ありがと、圭吾」
やつはぶすっとした顔で、ぼそっと言った。
「余計なこと、言うなよ」
お?
「余計? 誰に、どんな?」
「シバくぞ」
こいつのこういうとこが好きなんだよ、俺。
「何ならお前と同じ部屋でいいのに」
「断る」
「部屋見せろよ、何処さ」
そう絡んでやるとやつは凄い眼をして「f*ck no」だと。
粗野な返事に昔の面影を蘇らせて、俺はにんまりとした。
f*ck yeah.
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