he said,「smack you one」

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二階は確かベッドもなかったんじゃ、と唯ちゃんは俺の処遇を気にしてくれたけど。 「上等。広いし静かだし、寝袋は持ってるから平気」 家具一切がない部屋でも、あれなら快適に過ごせそうだ。 最悪は広めのクローゼットの中に閉じこもって精神修行の真似事でもすりゃいい。同僚のやつらと違って、静寂は嫌いじゃないからな。 それでも彼女はしばらく気にかけてくれていた。やっぱり優しい子だなあ。 ……それに比べて彼奴ときたら。 「そろそろ終いにしようか」 浜でのパーティーをお開きにして手早く片付けを――俺ももれなくこきつかわれた――済ませたら、唯ちゃんを連れて自分の部屋へさっさと入っていった。 唯ちゃん、まるで魔除け扱いだ。 面白くはないさ。 でも、その気になりゃお前を縛り上げて、目の前であの子にひどいことをしてやるって選択肢だってあるんだぜ――とか言ったら、マジで首を掻っ切られるかもしれない。
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