he said,「smack you one」

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やつを見つけたのは、何軒目の酒場だったろう。 「お前、そのへんにしとけ」 「……」 「泣いて悔やんだとこで、彼奴が帰ってくんのかよ」 カウンターに肘をついて項垂れる圭吾は、俺の言うことを無視してグラスの中身を煽った。 禿げ頭をてからせたマスターに何杯飲んだんだと目で問うと、彼は困り顔でウイスキーのボトルを持ち上げて示した。空だ。 アーニーが死んだあの瞬間から、圭吾は――やつらしくないくらい――ひどく苦しみ、悲しんでいた。 彼奴を車から引きずり下ろさなかった俺が悪いと後悔の念を口にするやつは相当量の酒を飲んでいたが、全く酔えてなさそうだ。 「マスター、勘定置いとくぜ――立て、おら」 立とうとしない圭吾を強引に引き立て、店から連れ出した。 人と喧噪が溢れ返る猥雑な通りでタクシーを捕まえるのには苦労した。一見素面でも足腰立たない酔漢と、そいつを担いだ連れなんか面倒だろうしな。 それでもようやく止まった一台にやつを押し込んで、宿舎に戻る。 蒸し暑い、苛立ちと哀しみが混ざる夜。 あんまりだぜと、アーニーにこっそり愚痴をこぼした。
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