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「傷病休暇取ったから、しばらくかけてくんなよ。どうせ出ないからね」
「……参ったな」
俺の代わりなら、たくさんいるだろうに。
事務方の悩みとお願いばっか聞いてると命が七つあっても足りないってことに、呑気な俺は最近になって気付いた。
警備スケジュールの確認中なのか、唇を「へ」の形にした渋い顔でモニターを凝視するマネージャーのリカルドは、緩く巻いた赤い髪に指を突っ込んでぼりぼりと頭を掻き、口を開いた。
「動けん怪我じゃないだろう? ハヤト」
「歩いて来て、今あんたの前にいるけど」
「あ」
「一応、全治二ヶ月」
腕の打撲傷はよくなったと思う。
ただ――
「傷に障るから、呼ぶなよ」
折れた肋骨と、腹の傷はまだ痛む。
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