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渋々自分でドアを開けに行くと、訪問者から笑顔がこぼれた。
「今晩は、サエキさん」
やっぱりか。
つい口の端を上げてしまったけど、歓迎の笑みと捉えてくれたらしい。仕事で来てくれたはずの彼は瞳をきらきらさせている。
「また来てくれたんだね、……えっと」
「ヴィットリオだよ」
朱色の唇を不満げに尖らせ、
「僕のこと、覚えてくれてなかったんだ」
「いや。……君がしてくれたことはよく覚えてるけど」
そう答えると彼は嬉しそうに微笑んだ。茶色の目はずっと俺を見つめて離さない。
前回は初見なのに過剰ともいえるサービスをしてくれた子だ。
顔も可愛いし、二十二歳にしては結構経験豊富かもしれない。
だから、ほら。
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