終焉

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父の会社だ、何をやらかしたんだと訝しみながら電話での応答を続ける。 「はい、桜井健介です。」 「実は健介様のお父上でもあります、弊社社員桜井誠のことでご家族様にお伝えしなければならないことがございましてお電話いたしました。実は昨夜未明、第2次朝鮮戦争の模様を取材するための平壌付近にある取材陣が宿泊しているテント村に突如北朝鮮側が攻撃を仕掛け、弊社社員含む日本の各社取材陣他、各国取材陣も大きな被害が出ておりましてお父上はーーー」 こっから先は一向に頭の中に入ってこず、自分でも知らぬうちに電話を切ってしまっていた。 なんだよ、朝鮮戦争って。 ついこの間、アメリカが平壌落として終戦間近、朝鮮半島平定迫るって騒いでたじゃねえかよ。 ただ、頭の中が真っ白になり朝のニュース速報で流れ出した親父の取材先で起きた事件も全く頭に入ってこなかった。 何かがあったのは間違いないが、その何かを知りたくはなかったのだ。 DVDを開封して、思わず再生する。     
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