透明人間になる薬

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 僕は全財産をはたいて、透明人間になる薬を手に入れた。  小瓶の中に紫色の液体が入っている。  休み時間、教室の隅で僕は小瓶の薬をのんでみる。  透明人間になってクラスメイト達をあっと驚かしてやるんだ。  どろりとした液体は苦い。まずい。  飲んだことはないけれど、青汁みたいな味がする。  五分間待つと、僕の体はみるみる透明になっていく。  制服まで透明になっていく。  すごい効き目だ。  でも三時間しか効果がないらしい。  透明人間になって、クラスメイトや先生をびっくりさせてやる!  僕は透明人間になった。  でも誰も気付かない。  僕が透明になって、見えなくなったことに誰も気付かない。  先生でさえ気付かない。  クラスの誰も僕なんか眼中になかった。  誰も僕なんか気にかけてもいなかった。  僕なんかに興味はなかった。  僕はもともと透明人間なんだ。  僕は死にたくなる。  僕は死にたくなる。  僕は透明なまま屋上に向かう。
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