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白銀 雪弥は、不思議な青年である。
濡羽色の髪に透き通った黒色の瞳に整った中性的な顔、すらっとしたモデルのような体型。まるでそれは作られた人形のように美しい。そして、右目の目尻の泣きボクロがどことなく神秘的で色っぽい雰囲気を醸し出していた。セントラル学園1の美青年っと皆が口を揃えて言うぐらいに綺麗な見た目。
それに加え、成績はいつもトップ。運動も何でもでき、魔法の実習のテストでも魔力の多い妖精や精霊達を抑えていつもトップなのだ。
そのくせ、そんな自分を誰にも自慢はせず、いつも謙虚で、争い事を好まない、穏やかな性格の心優しい青年なのだ。
これ程まで完璧な人間がいたら他の種族の連中は面白くないはずなのだが、不思議と彼らの多くは人間である雪弥を認めていた。差別の対象である彼が皆にそこまで気に入られるのは、彼の容姿からなのか、能力からなのか、はたまた性格からなのか。それは、誰も分からない。
その、本人は今日も生徒会室の中で仕事に追われているのだった。
――――――
「はぁ...。」
雪弥は悩ましげに眉を寄せ、ため息をついていた。それが、いつも色っぽいのは雪弥の無自覚である。
「雪、どうかしたのかい?」
資料に向けていた視線を雪弥に移した深海と同じく深い青い色の髪と瞳をしたイケメン、会長の鬼塚 青が訪ねてきた。
「青先輩、やっぱり俺生徒会をするべきじゃないと思うですよ...。」
と肩を落としたような様子で雪弥が言うと
「雪ちゃん、また急にどうしたの?」
ふわふわのミルクチョコレート色のくせ毛にそれと同じ色をした瞳の女の子のような可愛らしい顔立ちの庶務、ルア サフォードが尋ねてきた。
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