記録1 雪弥と世界と学園と

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「だってね、ルア。生徒会ってめっちゃ目立つし、しかも俺以外皆美形なのに、俺だけ不細工って申し訳ないし、惨めだよ...。」 そうこの男、皆に負けじ劣らじの容姿をしているくせに目立ちたがらず、自分の事に無頓着なのである。 「雪は、綺麗だよ?」 淡い緑の髪と瞳の優しそうな見た目のイケメンの会計、エルガオン アーバードが自分が思っている事実を言う。 「エル先輩。男としては複雑ですが、お世辞ありがとうございます。」 しかし、雪弥は本気にしてはいない。 「ああー!!もうお前いい加減じめじめぐちぐちすんの辞めろ!鬱陶しい!」 茶色の肌に黒の髪と瞳の精悍な顔立ちをした書記の鷹原 樹生(たかはら たつき)が顔を歪めながら怒った風に言う。 「もう樹生先輩は、エル先輩を見習うべきですよ。俺傷付いてるのに...」 そんな事をいいながら、皆に「お茶を入れてきます」と告げ、部屋の奥の扉へと消える。 その様子に残された彼らは、ホッとなる。 その理由は、3つある。 1つは、優秀な副会長に辞められたら困るから。 雪弥ほどにこの学園で副会長をやる生徒はいないだろうと思えるぐらいサポートが優秀なのだ。頭が良く、判断力に優れているというのは勿論、次に何をしていて欲しいだとか、ここをこうした方がいいと思っていると必ず雪弥が先回りして、その準備をしていたりとサポート力が高いのだ。 そして、2つは、雪弥が襲われないようにである。雪弥はいくら強いとは言え、所詮人間である。だから、いつ雪弥が暴力沙汰に巻き込まれてもおかしくない。 3つ目は、この世界は男でも妊娠できる。なぜ、妊娠できるかというと、妖や妖精、精霊などは、繁殖能力が凄まじく、歳をとるに連れ何ヵ月か1度ぐらいに発情期がくるようになる。その発情期には、例え相手が同性であっても子を作ってしまうのだ(人間の男同士、女同士以外)。だから、発情期の妖や精霊、妖精達と性行為をしてしまえば、男同士でも女同士でも子供が出来てしまったりするのだ。そして、この学園は、男しかいない。学園の高等部の時期は発情期の始めの時期と被ったりするため、強姦などが起こりやすい。特に雪弥のような容姿の者は、よく巻き込まれる。しかも雪弥は、結構単純な性格で見張っていないとほいほいと知らないやつに着いて行ってしまうのだ。 それらから、守るためには生徒会や風紀に所属するというのが手っ取り早い方法なのだ。
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