15人が本棚に入れています
本棚に追加
外の世界に出てきても、僕は、普通の子どものように遊ぶことはできない。
廃材登りも、ボール遊びも、バトミントンも、公園のブランコもジャングルジムも、何もできないんだ。
外の世界に出て普通の子どものように遊びたいという夢が、僕にとってどれだけ無理な望みだったか、そのとき初めて知った。
廃材をすり抜ける僕の体を見た子どもたちは、当然驚いて、おばけだ、幽霊だとはやし立てながら逃げ回った。
「幽霊はここまで登ってこれないぞ!」と誰かが言って、子どもたちはあっという間に、一人残らず廃材の山を登ってガレージの屋根に避難した。
僕を遊びに誘ってくれた男の子も、みんなと一緒に屋根に登って、決して下りてこようとしなかった。
僕は居たたまれなくなって、急いで空き地をあとにし、自分の家に戻った。
もう外に出たいとは思わなかった。
それからは、ガラス戸の所に行って外の景色を見ることもやめた。
最初のコメントを投稿しよう!