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神様。
学校へと向かう道中、翔太に昨日の話しをした。
「笹野が、野田の事はなんとかしてくれるってよ。あいつさ、思ってたよりいい奴なのかもな……」
翔太はちょっと疑いつつも「まぁ、なんとかなりそうなら良かったな!」と言った。
教室に入ると笹野と目が合った。
俺が軽く手をあげると笹野も頷いた。
ありがとう、笹野……。
野田がこっちに来て通りすぎた。
通りすぎる瞬間こう言いながら……
『貧乏野郎、嘘ついてんじゃねーよ』
え……。
笹野を見た、笹野は笑っていた。
「な、正夫!どうにかなっただろ?」
俺は、震えが止まらなかった。
なんで……どうしてだよ?お前、昨日の言葉は嘘なのかよ……。
信用した自分が馬鹿だったんだ。怒りを通り越して、虚しさがじわじわと押し寄せた。
唯々、呆然と立ち竦む、抜け殻のような俺を見て、翔太がこっちに来ようとしている。
俺は、情けなくて情けなくて堪らなくなり、翔太に気がつかない振りをして席に着いた。翔太はそれに気がついたかのように、自分の席に戻った。
──頼む、今はほっといてくれよ。お前にも八つ当たりしそうで、怖いんだ。
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