偽り。

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 席に着くと、翔太がそろそろみたいな顔をして、こう言った。 「で?どーすんの?ゲーム。買ってないんだろ?」 「……うん、まぁ」 「大体さ、盗んだ金でゲーム買った方が恥ずかしいだろ?なんで学費くすねたなんて、嘘ついたんだよ?」 「いや、普通に学費払えない方が恥ずかしいよ。お前には、分からないかもしれないけどさ」  俺がそう言うと、翔太はちょっと申し訳無さそうな顔をした。  それに気がついていないかのように、俺は全く興味も無い新商品のメニューが貼られている壁の方へと、ちらっと目線を泳がせた。 「とりあえず、食うぞ」  俺はチーズバーガーを食いながらポテトに手を伸ばした。 「ちょ!正夫!それは俺のポテトだから!」  翔太も慌てて食いだした。  別に早食い勝負してる訳でもないのに、二人して急いでポテトを食っていた。  ──ごめんな翔太、ありがとな。  環境のせいにして苛立ったり、八つ当たりしたり、嘘を重ねたり……俺は何がしたいんだか、自分でもよく分かんねーんだ。
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