不謹慎な願い事。

2/2
前へ
/114ページ
次へ
「地球は消滅しないけど、みんなの家は壊れたとかがいいよね?死ぬのはやだもんね?食べ物は平等に支給されるのがいいよね?」  優美がそんな事を言うから、俺はずっと笑っていた。 「でもさ、本当に明日地球なくなるのかな?予言者なんて信用できないよな」  そんな話しをしていると、優美と俺の前に水滴が落ちてきた。  雨漏りだ………。 「わ!やば!お兄ちゃん、雨降ってきたわ!」  優美は慣れた手つきで鍋と皿とコップを持ってきて、雨漏りする場所に置いていった。  俺は優美が置いた皿やらを、足でつついてみたりして必要のない微調整を入れる。  もうこんな事が何度もあるんだ。祖母はいつもパチンコで帰りは遅いし。  なんなんだよ!!  あーーー!叫びてぇぇーー!  ──本当に地球消滅、お願いします。  神様、予言者様!!!  ポンポン、トトッ、ピチッ。  ポポポン、ピチッ、トトッ。  雨をうける鍋や皿達が、まるでバンドでも組んだんじゃねーか? と思うくらい、軽快なリズムを刻んでいた。  ──その音を聴きながら、俺は優美と、くだらない例えばの話ばかりしていたんだ。
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

212人が本棚に入れています
本棚に追加