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残念賞。
帰宅した祖母とは目も合わさずに、俺は赤い秒針を唯々見つめていた。優美はもう寝てしまった。
俺は地球消滅が今か今かと待ち構えていた。赤い秒針があと一週という時、心と身体が震える。
だけど、時計の針が0時を指した時。
──何も起こらなかった。
気がついたら眠りについていた。何か、夢を見た。優美と俺が、ご馳走を食べていて何かを祝っていた。何かは知らないけど、すごく気分は良かった。
だけど目を開くと、いつもと同じ朝が訪れた。
神様は、いつだって俺たちの味方をしてくれない。
「おはよ、お兄ちゃん。地球、あるね……」
「うん」
「消滅してねーじゃん!!」
「……うん」
地球は無事だった。
予言者の予言は外れた。俺と優美は笑った。
「地球無事じゃん!なんで消滅してないんだよ!」
そう言いながらも、優美は別に嫌そうではなかった。
そりゃそうだ、そんな摩訶不思議な事が起こる筈が無いのだから。
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