浄土の山里

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目的地は室町錦にある我が社から、歩くこと15分ほどの距離にあった。 行きつけのデパートは仕事帰りの女にとっては閉店が早い。 大急ぎで買い物を済まさねばならなかった。 ショーウィンドウの中の着飾ったマネキン人形たち。 まるで生きているかのようだ。今にも動き出しそうだった。 こちらに視線を合わしていた。 一瞬、ダイアン・レーン主演映画「愛は危険な香り」のワンシーンを思い出した。 マネキン人形が生き物になり、夢の中に出てきて、潜在的な願望を操る。 生々しく、倒錯的な世界を連想させる印象的な映画だった。
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