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私はシルクのナイトウェアに着替えながら、ユニットバスに湯を勢いよく注いだ。
湯煙が顔へ立ち上るとすっかり寛げた。
その途端、今まで存在さえ気にならなかった電話が、壊れた目覚まし時計のように部屋中に優しく鳴り響いた。
甘い予感に胸騒ぎがした。
スリーコールで受話器を握った。
耳にそれを強く押しあて、息をのんだ。
すると、向こう側も同じように、息をのむかのように静寂であった。
しかし、何処か、懐かしくなる静寂であった。
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