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「ほんとだよ。惚れそうになるって。やってみ? ほら」
その勢いで正座をして、太腿を叩く。れなっちのと違って太めの私の太腿は柔らかい筈だから、れなっちのよりも破壊力があるはずだ。
「……それじゃあ」
れなっちはおずおずと頭を横たえた。それから重みがぐっと増す時があった。力を抜いてくれたんだろう。
「どうよ?」
「……柔らかい」
「ここからさらにこれよ」
と彼女に倣って頭を撫でる。私としては、撫でられるよりも撫でる方が恥ずかしいような気がする。こんなことしちゃって良いんだろうか、的な。それでも押しの姿勢は崩さない。
「どーよ? 惚れそうになるでしょ?」
「……うん。分かる」
「でしょー!? 大袈裟じゃないって分かるでしょ?」
「……うん。ごめんね」
「ほらねー? そうでしょ? れなっちはホント、勉強できても私のいう事信じてくれないんだから」
「三奈は普段から大袈裟だもん」
「まあそれは認めるけどさー」
「ふふ」と玲奈っちが笑って、彼女の重みが少し増した。このまま足がしびれたら嫌だな。
「……ねえ、玲奈っち。そろそろ起きて、勉強しよっか。足がしびれちゃう」
玲奈っちは答えなかった。
「もしもーし」
彼女は無言のまま。
「おーい、死んだのかーい?」
「生きてますよー」
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