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「…そっか………啓太君はその叔父さんのこと嫌いなのか?」
「………わかんない…まだ、ちょっとしか会ってないし……」
そう言って啓太君は、顔を俯かせた。だが、覗き見た彼の表情は、「とても嫌だ」という風には見えなかった。
(……その叔父さんが嫌いってわけではなくて、とにかく不安なんだな……)
「…まぁ、何か始める時に不安になるのはみんな一緒だよ。」
俺は、啓太君を安心させるような言葉を選んだ。
嫌ではないのなら、親族が近くにいる方が、色々といいだろうなと思ったからだ。
「……そうなの?」
「…そうだよ。俺だって、不安になる。…みんな一緒だよ。……大丈夫、啓太君なら大丈夫。」
「………うん、啓、頑張る。」
まだ、不安の色は全て拭いきれていないけれど、少し表情が晴れやかになった気がした。
「…うん。叔父さんがいい人だといいね。あ、そろそろ帰る時間だよ。」
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