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「じゃあな、清水。学校こいよ!」
「…あぁ、善処する。」
手を振って別れ、前原の家と俺の家の丁度中間地点にある公園のベンチで一休みする。
(………進路、どうするかなぁ……)
今の時代、中卒で働ける職場なんて極少数だ。
最低でも高卒資格は取りたい。
でも、全日制高校に入ったところで、ちゃんとやっていけるのか…?
だからって、定時制や通信制の高校は、どんなところなのか全然知らないし……
そんなことを考えてふと上を見上げると、後ろにあった木の枝の陰から、小さな泣き声がすることに気がついた。
(………?……泣き声?)
もっとよく見てみようと、ベンチから立ち上がり、木の真下まできて上を見上げてみる。
すると、某有名スポーツメーカーのロゴが入った赤いTシャツにベージュの短パンを履いた四、五歳くらいの男の子が太めの木の枝に座って泣いていた。
(…あぁ、降りられなくなったのか……
しかし、よくこんな足場の無い木登れたな……)
そう思いながら見つめていると、不意に男の子と目が合った。
「…大丈夫か?……降りられなくなったのか?」
声を掛けてみると、大きな目を潤ませながら、こくんと小さく頷いた。
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