1:小さな出会い、大きな別れ

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(背伸びしたら、ギリギリ届くか……?) 「…ほら、おいで。下ろしてやるから。」 「……本当……?………落ちない……?…」 「…落とさないから、おいで。」 その小さな体を抱きとめて、下ろしてやれば、何故かその子は泣き出してしまった。 (!?……えっと、これ、ど、どうしたらいいんだ?!…) 取り敢えず、頭を撫でてみた。 すると、もっと泣き出してしまった。 (!?…えぇぇ……これどうしたら正解なんだ……?) 慌てていてもしょうがないと、落ち着くためにさっき座っていたベンチに、男の子を抱えたまま座る。 (…どうしたもんかなぁ………) 頭を撫で続けて十分ほど過ぎた頃、漸くその男の子は泣き止んでくれた。 「…もう、大丈夫か?」 「……うん…」 「…何であんな所に居たんだ?」 「……えっとね、うんとね、パパとね、ママにね、会いたかったの。」 「……パパとママに?」 「うん、あのね、パパとママね、お空の上にね行っちゃったの。だけどね、啓はね、パパとママに会いたかったの。バイバイって言いたかったの。」 「…そっかぁ……」
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