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第1話 隣の住人
人間の絆はまるで鉄である。
一見硬そうに思える鉄も、一度火が通ればグニャグニャと動き、そのまま形を変えて冷めてしまえば昨日とは異なった形になる。
小学校の時毎日のように遊んでいた友人達も中学校にあがりクラスと部活が異なれば疎遠になる。廊下ですれ違っても向こうは向こうでこっちはこっちで新しい絆を構築し、それぞれ知らん顔をして通り過ぎる。当時は何も思わないが今思い返すと少し切ない。中学校の友達でさえ高校が離れればおなじこと。線路を一緒に歩いて冒険した友人でさえ、いつかは思い出の人となり最後は記憶の奥底に沈んでいく。一年後には、いや明日には形を変えてしまような絆だらけの世界で何が本当の絆で誰を信用したら良いのだろうかいやそもそも我々は何も信用出来るものがないのかもしれない。
ピンポーン
あるマンションのインターホンがなる。
部屋には男が一人。
社会人10年目の男は中堅社員として上司と部下にも気を使わなければならない難しい年代だ。
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