1.真っ白なキャンバス

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「え?」 彼女の意外な言葉に、俺はゆっくりと振り返った。 「言っとくけど私、先生じゃないからね?」 「…」 「これでも生徒」 女はそう微笑んでタバコに火をつける。 俺はイマイチ状況が飲み込めず、小さく首を傾げた。 「だって私服…。ていうかタバコ」 「うちの学校、私服OKでしょ?」 確かにうちの高校は制服と私服の選択制だ。 とはいえ、私服の生徒はほとんどいない。 その前に何で堂々とタバコを吸っているんだ? そう思いつつも、俺は言葉を飲み込んだ。 「何か描いてたんでしょ?私のことは気にしないで続けて」 「…」 続けてと言われても…。 俺は少し迷いながらも、さっきまでいた場所に腰を下ろした。 彼女は空を見上げながらタバコをふかしている。 元々人と接することが苦手な俺。 ましてや見ず知らずの女の子と2人きりなんて、どうすれば良いのか分からない。 その前に本当にこの人、生徒なんだろうか? 何度見ても生徒には見えない。 「ねぇ。アンタも3年生?」 「え?あ、はい」 このタイミングで話しかけられてしまっては、帰るわけにもいかず。 俺は中途半端な姿勢のまま会話を続けることになった。 「私は3組。名前はねー、あやの!」 「え、同じクラス?」
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