1.真っ白なキャンバス

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同じ3年3組の生徒? 全く気づかなかった。 クラス替えをしてからまだ2ヶ月だし。 その前にクラスメイトの顔なんてほとんど見てないもんな。 「同じクラス?いたっけ」 「一応います」 「嘘~?こんなイケメンいたら忘れないハズなんだけどな?」 綾乃という女は冗談ぽく笑って、俺の眼鏡を少しだけずらした。 「ほら?眼鏡外せば意外とイケメン」 「…!」 気づいたらすぐ目の前に綾乃の顔があって、一瞬何が起こったのか分からなかった。 初対面なのにありえない距離感。 視力が悪いおかげで彼女の顔がよく見えないことが唯一の救いだった。 俺は慌てて眼鏡を奪い返す。 「まあ綾乃、3年生になってから数回しか学校来てないんだけどね」 綾乃は悪戯っぽい笑顔でそう言い、また新しいタバコに火をつける。 「あーあ。ここ私だけの秘密基地だったのにぃ」 「…」 それは俺の台詞なんだけど…? …これが俺と『綾乃』との出会いだった。 聞くところによると、綾乃は3年3組の一番後ろの席。 いつも空いてるから少しだけ気になっていたんだけど、そこが綾乃の席だったらしい。
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