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時々しか学校に来ない綾乃。
その姿は独特のオーラを放っていて、誰ともつるまない『一匹狼』といったところ。
だけどあの容姿だから、男子には一目置かれているみたいだ。
*
「またアンタ?」
綾乃が少し不機嫌そうに俺の顔を覗き込む。
あの日から俺たちは何度も屋上(ここ)で鉢合わせしている。
綾乃は教室に顔を出さない日も、何故かここには現れたりするのだ。
「それはこっちのセリフです」
「お、言うねー?」
いつものようにタバコに火をつけて、手すりに体を預ける綾乃。
「ほんっと好きだね、ここ」
「そっちだって」
「私はこれ!ここでしか吸えないもん」
綾乃は右指に挟んだタバコを俺に見せる。
「ああ」
俺は妙に納得させられてしまった。
学校でタバコを吸ってる時点で違和感を感じるけど、彼女はそれをあまりにも自然にやっているから。
この貫禄は何なんだろう?
「ねぇ!ところでさ、名前は?」
「山下」
「苗字じゃなくて~」
綾乃は小悪魔のような笑みで俺の顔を覗き込む。
余裕たっぷりな顔。
いつもこうやって男を落としているのだろうか?
でも、俺にはそんなの通用しない。
「…かいと」
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