1.真っ白なキャンバス

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時々しか学校に来ない綾乃。 その姿は独特のオーラを放っていて、誰ともつるまない『一匹狼』といったところ。 だけどあの容姿だから、男子には一目置かれているみたいだ。 * 「またアンタ?」 綾乃が少し不機嫌そうに俺の顔を覗き込む。 あの日から俺たちは何度も屋上(ここ)で鉢合わせしている。 綾乃は教室に顔を出さない日も、何故かここには現れたりするのだ。 「それはこっちのセリフです」 「お、言うねー?」 いつものようにタバコに火をつけて、手すりに体を預ける綾乃。 「ほんっと好きだね、ここ」 「そっちだって」 「私はこれ!ここでしか吸えないもん」 綾乃は右指に挟んだタバコを俺に見せる。 「ああ」 俺は妙に納得させられてしまった。 学校でタバコを吸ってる時点で違和感を感じるけど、彼女はそれをあまりにも自然にやっているから。 この貫禄は何なんだろう? 「ねぇ!ところでさ、名前は?」 「山下」 「苗字じゃなくて~」 綾乃は小悪魔のような笑みで俺の顔を覗き込む。 余裕たっぷりな顔。 いつもこうやって男を落としているのだろうか? でも、俺にはそんなの通用しない。 「…かいと」
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