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「退屈ならば、彼女の持ちものの中になにかよいものがないか見て参りましょうか。彼女は好奇心が強くいろいろなものをお持ちでしたから、あなたの退屈をまぎらわせるものもなにかあるでしょう。それとも、ご自身でミリナイへ降りられますか?」 「いや。それには及ばないよ。おれはまだ退屈を楽しめる」 ルカーはとなりに伏せる黒い獣の背を撫ぜた。 ルカーは忠実なしもべのその毛なみのよさを愛していた。 と、任務の呼び出し音(アラーム)が鳴る。 「おや、仕事のようだ」 ルカーは記録媒体を寝台のうえに放りだし、立ち上がった。 「退屈している暇はなかったな」 遺物の回収は、ルカーの仕事の中でもあまり難しくないほうの仕事だ。 よっぽどのことがない限りは、現地民を避けての行動になること以外に問題はない。 ときどきは遺物がその力を暴走させて問題を起こしていることもあったり、現地民へ影響を与えているためただ回収するだけではすまないこともあったが、大抵の場合はただ拾って戻るだけだ。 遺物にはルカーやナディーラだけでは持ちづらいような大きくて重いものもあれば、一ヶ所に大量にある場合もあるため、ディまたはディたちを連れて行く。 セジェンダからミリナイへの移動には、宇宙艇(シャトル)を使った。 ルカーはある程度は宇宙空間でも平気で活動できたが、ナディーラやディまたはディたちを含め全員がミリナイへ向かうとなると、結局宇宙艇で向かうのが一番効率がよかった。     
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