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山中で細かく散らばった遺物のかけらを拾い集めるという実に地味な仕事だった。 人里に近いところはルカーやナディーラが担当し、人が近寄らないようなところは彼または彼らが担当する。 できるだけミリナイ人に見つからないよう作業は夜に行う。 セジェンダの観測塔から来た者たちには昼夜の明るさの差は大して問題とならなかった。 *** 「ナディーラ」 ルカーは彼の従僕の名を呼び、腰をおろした寝台(ベッド)のとなりをポンポンと叩いた。 黒い獣は音も無く歩み寄ると、その足元に伏せる。 「ナディーラ」 あるじはもう一度非難するように彼の名を呼び、もう一度となりを示す。 「私の身の上でそれはいたしかねます」 「おまえはしつけのよい介助動物かなにかなのか。いいからおいで。命令させたいか?」 それは穏やかな表情ながらも有無を言わさない調子だったので、忠実なしもべはしかたなく寝台の上、あるじの傍らへと乗り上げて、うずくまった。 「いい子だ」 ルカーは、愛玩動物(ペット)の犬にでもするように優しく、彼のしもべの黒い毛皮の背を何度も撫ぜる。 「ルカー様」 「おまえもあたたかいんだな」 あるじは傍らの黒い獣に寄り添うように身を横たえた。 「そこまでミリナイの生物に似せる必要はなかろうに」 「いけませんでしたか?」     
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