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ネファヴィリーの能力が発現した人間があらわれた。
“先祖がえり”をしそうな人類がいたとしても、大抵の場合は幼いうちにディヴァーギルが見つけ出し、ルカーがその能力を抑えるための封印を施しに行くため、大事には至らないことが多い。
しかし、今回の相手は違った。
カンという名のその男は、ネファヴィリーの環境DNAが希薄な地域に生まれ育ったためか、発見が遅れた。大抵の場合“先祖がえり”はもともとネファヴィリーが多く住んでいた地域から見つかる。
彼はすでにルカーと同じくらいの年頃――見た目の年齢ではなく本来の年齢だ――まで成長し、強力な超能力を有していた。
世界を思うままにしようと目論み、暗躍し、多くの普通のミリナイ人を手下に連れていた。
もし彼がただのミリナイ人であったなら、それがたとえどんな悪人であろうとルカーたち観測塔のものは干渉しない。しかし彼は、まさに“塔”の管轄案件そのものだった。
ルカーはナディーラとディとともに彼を始末しするために向かったが、結論から言えば取り逃がしてしまった。
彼は、観測者に対抗しうるていどの強力な超能力を身につけてしまっていた。
ディたちも損傷したため、観測者たちは彼を始末できないまま引き上げなければならなかった。
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