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当代ルカーにとって、自分と同じ境遇の者と出会うのはこれが初めてだった。 そのことによりあるじがどこか神経質になっているような様子にナディーラは気を揉んだが、だからといってしもべが彼にしてやれることはなかった。 「おれとカンの違いはなんだろうな」 あるじの言葉を流動体のしもべはまず振動で感じ、それから人的な意味を理解する。 今回はそれが遅れ、うまく返事ができなかった。否、ときに人を模すこともあるしもべとはいえ、そもそもそれに対するべき返答を持たなかった。 彼のあるじとて、返事を期待をしたわけではないだろう。淡々と続ける。 「世界征服とはずいぶん楽しそうだ」 「ルカー様」 「彼には野望があって、血の通った仲間がいる。おれには、なにもない」 たしかに彼は野心というような類いものは持たず、世俗と隔絶されたこの場所には彼の孤独と退屈の慰めとなるようなものはなにもない。 だが、なにもないと明言されるのはなにか堪えるような気がした。 「――――あなたには、私たちがおります」 「そうだな。岩と氷の星と塔とおまえたちだ」 「はい」 「彼が持っているようなものは、本来おれにもあったものなのだろうか。もともとなかったような気がする。たった20年ていどで忘れてしまったのだろうか」     
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