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黄色みの強い太陽のまわりをまわっている二重惑星で、現地の言葉でミリナイとセジェンダと呼ばれていた。
ミリナイは水の惑星。豊かな資源を有し、30億人ほどの原星人が暮らしている。
セジェンダはそれよりもふたまわりほど矮小で、岩と氷でできていた。目立つものは氷の火山くらいで、重力も弱く、大気もなく、生物は存在しない。
そのセジェンダの、ミリナイからは見えない裏側には、塔が建っていた。
塔といっても、地表からは数メートルはなれたところに浮いている背の高い建造物だ。
長い棒状の構造の上に、大きな円盤状のスペースが乗っている。
その塔を建てたのは、かつてミリナイを訪れた異星人だった。
ネファヴィリーと呼ばれる種族の彼らは、まだミリナイが文明を持たぬころにこの地を訪れ、調査研究とバカンスを兼ねたような生活をしていた。
しかし2千万年ほど経ったころ、ミリナイの生物に文明の兆候が見られるようになったため引き上げていった。
急な撤収は、彼らのものを多くミリナイに残すこととなった。
そのときに彼らが回収し切れなかったものには、高度な技術で作られた遺物だけではなく、潜在的にネファヴィリーの遺伝子を持つこととなったミリナイの生物もあった。彼らのうちのいくらかの者が現地の生物を交配したためだ。
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