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とはいえ、それらのものがミリナイの文明に影響を与えることを、ネファヴィリーは無神経によしとはしなかった。 そこで、彼らは観測者と観測塔を残すことにした。 観測者は、ネファヴィリーの言葉で“ルカー”と呼ばれた。 ルカーの役目は、その名のとおりミリナイの生態系や文明の発達の観測と、ネファヴィリーの遺したものによるミリナイへの影響を最低限に抑えることであった。 ミリナイの生物にとっての善し悪しを問わず、なんらかの影響があればルカーはそれを是正しなくてはならない。 回収し切れなかった遺物が見つかれば回収し、ミリナイの生物の自然な発達をできるだけ妨げないようにする。 そしてまれに、先祖がえり的にネファヴィリーの遺伝子の影響が色濃く発現してしまったミリナイの生物があらわれたなら、すみやかにそれに対処する。場合によっては排除する必要もあった。 星の観測を任された初代ルカーは、純粋なネファヴィリーの志願者だった。 博識だが変わり者で、彼の遺伝子も星に残されていた。 しかし、1億年をこえたころに不慮の死をとげてしまった。 塔を管理する人工知能は本星に代わりのルカーをよこすよう要求したが、協議の結果代わりが来るまでに数万年はかかることになった。     
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