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そこで、現地に残るネファヴィリーの血を継ぐ者のうちから、その能力に優れた者をそれまでの代理にたてることにした。
そうして初めて選ばれたのが先代のルカーであった。
ルカーとなったミリナイ人は、ミリナイ人でありながらネファヴィリーとしての能力も有することとなる。普通のミリナイ人よりも長生きし、いわゆる超能力を持った。
しかし彼女はそれほど深く“先祖がえり”をしたとは言えず、4000年ほどで死んでしまった。彼女の死は初代ルカーとは違い、ある種の寿命であった。
その後選ばれた次のルカーが、当代のルカーである。
当代は、先代の彼女よりも血が濃いためもう少し長保ちすると考えられているが、正確なことは誰にもわからなかった。
できれば正式な後継者が送られてくるまで保って欲しいと、塔の管理AIは希望していた。
先祖がえりについて正確な条件は判明していなかったので、現ルカーが死んだ後次へつつがなく移行できる保証もない。
これはあくまで緊急避難的な処置だった。塔の管理AIにかかる負担は常に、想定されたよりも大きいのだ。
当代のルカーは、当時14歳の学生だった。
幼いころに両親を事故で亡くし、親戚の家に引き取られ暮らしていた。
まるで普通、とは言えなかったが、それなりにしあわせな普通の少年だった。
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