1.

4/10
前へ
/37ページ
次へ
そこで、現地に残るネファヴィリーの血を継ぐ者のうちから、その能力に優れた者をそれまでの代理にたてることにした。 そうして初めて選ばれたのが先代のルカーであった。 ルカーとなったミリナイ人は、ミリナイ人でありながらネファヴィリーとしての能力も有することとなる。普通のミリナイ人よりも長生きし、いわゆる超能力を持った。 しかし彼女はそれほど深く“先祖がえり”をしたとは言えず、4000年ほどで死んでしまった。彼女の死は初代ルカーとは違い、ある種の寿命であった。 その後選ばれた次のルカーが、当代のルカーである。 当代は、先代の彼女よりもためもう少し長保ちすると考えられているが、正確なことは誰にもわからなかった。 できれば正式な後継者が送られてくるまで保って欲しいと、塔の管理AIは希望していた。 先祖がえりについて正確な条件は判明していなかったので、現ルカーが死んだ後次へつつがなく移行できる保証もない。 これはあくまで緊急避難的な処置だった。塔の管理AIにかかる負担は常に、想定されたよりも大きいのだ。 当代のルカーは、当時14歳の学生だった。 幼いころに両親を事故で亡くし、親戚の家に引き取られ暮らしていた。 まるで普通、とは言えなかったが、それなりにしあわせな普通の少年だった。     
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加