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尾が二つあるように見えるが片方は触手だった。
彼は、少年の忠実なる従僕だ。
あるじの起きる気配に、首をもたげる。
「お目覚めですか、ルカー様」
「おはよう、ナディーラ」
ルカーは上体を起こした。
時計の方を見ると、ちいさな青い花が飾られていることに気づく。
「これはおまえが?」
「はい。差し出がましいまねでしたでしょうか」
「いや。驚いた。花瓶などあったんだな」
「先代の持ちものに」
「彼女はもの持ちだな。花はどうしたんだ?」
「ミリナイに降りましたおりに。あなたの瞳の色と同じ色でしたので」
「ふ。まるで口説き文句ような言いまわしだ。どこで覚えるんだ?」
「お戯れを」
「次は、手折らないであげてくれ」
「はい。申し訳ありません」
「謝らなくていい。怒ってはいない。感謝はしている。とてもきれいだ」
「はい」
「それで、おれはどれだけ寝ていたかな?」
「9日と2時間39分です」
「寝過ぎたな。そのあいだに問題は?」
「お手をわずらわせるようなことはなにも」
「ならよいのだが」
「必要ならば、ディヴァーギルが黙って寝かせておいたりはしません」
「そうだな」
「お着替えをなさってください。朝食を準備いたします」
「たのむ」
“観測者”の役目は、ルカーだたひとりで行われるわけではない。
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