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ソファに寝ているみたいな彼女達を起こそうと近寄り、手を伸ばした。だが瞬間、目の前が沢山の蝙蝠に覆い尽くされ、驚いて下がる。瞬きをして開けた目の前のソファに、レキトがいた。彼は女性を人形みたいに引き寄せると、膝の上に乗せて、首を晒す。そして俺を見ながら目を細めた。
何をするか、なんて解りきってる。その体勢は吸血する時のそれだ。彼女の血を吸う気だ。止めなければ。
「なぁ、何を怖れている?」
「やめろ、」
「これは食事だ、それも、彼女達はきっかり三時間は起きないぞ」
「こんなのは間違いだ、」
「非人道的か?そうか、それで吸血を躊躇っていたのか」
「、吸血するにしても、他に方法があるだろう、」
「方法か……そうだな」
ふむ、と考える仕草をされる。誘拐紛いのこの状況は本当にまずいし、止めてくれと懇願する勢いで必死に言葉を探す。だがレキトは唇を僅かに吊り上げると、必死な心を裏切るように、目の前にあるであろう首筋に噛み付いた。
「レキトッ!」
「…………」
あぁ、止められなかった。じゅるじゅる、とレキトが目の前で血液を吸出している。こうなっては下手に止めようとしたら逆に彼女が危ないし、どうする事も出来ない。
非人道的、そうだ、こんなのは、どうかしてる。眉を寄せて、瞼を閉じる。震える拳を握り締めて、ザリ、と後退りしてしまう。瞬間、腰を大きな手で引き寄せられて、驚いて瞼を上げた。
「ッレキ、ッぅ、!?」
喋りかけの唇に噛み付くように唇が重なって、一瞬何をされたのか全く解らなかった。頭が理解する前に舌を口に入れられ、牙を撫でられる。
「ぅうーッ!!ンゥ、ッ!」
理解した時には強すぎる力で抱き締められていて全く身動きが取れなくなっていた。
何故か解らないがキスをされている。いや、違う、これは。
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